世田谷区で発見された1400年前の横穴墓群遺跡
世田谷区議会は昨日定例会が閉会となりました。
今回の議会では、東京外環道の東名ジャンクション工事現場で見つかった
横穴墓群について保存できないのか?といった質疑が何度かありました。
昨日は地元の方々向けの見学会が開かれたとのことでしたが、
私達は本会議があり参加できなかった為、
本日午前中に会派のメンバーと視察に行って来ました。
墓穴内部からは葬られた「人骨」や、武器や首飾りなどの装飾品が出土し、
一度に横穴が発見されるのは希少であるとのことから
保存すべきだという意見が議会でもあがっていたので、
私達の会派としても詳細に状況を把握するために視察することとしたのです。
今日は急遽決めた視察だったので、中村公太朗議員と藤井まな議員と3人でした。
教育委員会事務局の遺跡に詳しい学芸員の方が同行して下さり、
中日本高速道路の現場責任者の方と合わせて
この古墳についてや工事の状況などを詳細に伺いました。
今年6月に台地の斜面を掘削している際に横穴が発見されたわけですが、
1300〜1400年前の古墳時代のもので「殿山横穴墓群」と呼ばれており、
喜多見の集落の村長(むらおさ)クラスのものだと思われるとのこと。
全部で17の墓穴が確認され、区教委と都教委の委託先が現場を調査してきたそうです。
横穴墓は、入り口が幅80センチ前後で高さ100センチ程度。
墓穴内に入ることはできませんでしたが、
奥行きは3メートルほどとのことでした。
入口までのスロープには溝があり、穴内の水が流れ出るようになっていました。
地層はやわらかい岩盤で浸水しやすく、
また当時麓を流れていた川の水位があがって
水で満たされた形跡もみられるとのことでした。
穴の入口には石を積んで扉とし、
現代のお墓のように一族が亡くなると
扉を明けて埋葬したのだと解説していただきました。
この○で囲んだ所は工事で掘削したものではなく、
墓穴づくりを途中で止めた跡とのことでした。
この場所は、工事計画上では全て掘削される予定とのことですが、
保存すべきか否かは東京都教育委員会が判断するそうです。
議会では相当貴重な遺跡だ、といった意見もありましたが、
区教委の学芸員の方によると、横穴墓群は珍しいものではなく
区内にはかなりあるとのことで、現在の東名高速工事の際には
区内で33の墓穴が出てきたとのことでした。
中日本高速道路の方の話でも高速道路建設の際にはあちらこちらで
遺跡が発見され、横穴墓は相当あるとのことでした。
また、この場所は関越道から約16キロの外環道を地下トンネルで結ぶ
最後の地点であり、工事としては要所とのことでした。
工事現場内の為、通常は中に入って見る事はできませんが、
工事現場の壁は一部透明パネルとなっており、
この写真の矢印の先のように墓穴を目視することができます。
場所は玉堤通りと東名高速が交わるところからすぐの所なので
通りがかることがあれば覗いてみてはいかがでしょうか?