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平成19年度第3回定例会 一般質問と答弁

民主党・無所属連合、風間ゆたかです。前回は肩に力が入り過ぎていましたので、今回はちょっと力を抜いて、穏やかに質問させていただきますが、議場の中の皆様には、ぜひ目を見開いて聞いていただければと思いますので、よろしくお願いします。  通告に従い、順次質問いたします。  まずは学校教育の展望についてであります。  文部科学省初中局は、さきに提出されました平成二十年度の概算要求において、世界トップレベルでの義務教育の質の保証ということを掲げているように、これからの義務教育は、世界を意識することと質の担保が必須要素だと考えます。  特に世田谷区は、教育に関心の高い保護者もたくさんおり、首都東京で最も多くの子どもたちがいる自治体であることを考えると、これからの日本をリードする、質の高い義務教育を提供していかなければならないと考えます。  さて、進化、発展を目指すどの組織も、マネジメントサイクルのスタートはビジョン策定であり、それを実現するためのアクションプランに基づき実践、実行していくことで、成果を上げていくものであります。  世田谷学校教育の展望については、世田谷区教育ビジョンがこれに当たり、それを一言であらわす文言が「せたがやで育てる世界にはばたく子どもたち」かと思います。この文言は、世田谷で子どもを育てる一人の親としても大変期待感を抱けるものであり、ぜひ実現すべきと賛同できますが、これまでさまざまな大手企業のビジョン浸透に携わってきた私としては、このビジョンをブレークダウンして設定すべき柱や取り組み項目には若干偏りがあるように感じます。  例えば「世界に」というキーワードが、次の五つの柱には全く反映されておらず、重要なプロセスを省いているように感じるのですが、きちんとロジカルに設定したのでしょうか。初めに五つの柱ありきだったように感じるのでありますけれども、そのあたりのことをお聞かせください。ビジョンの第二期行動計画を現在策定中かと思いますので、きちんとしたワークフローで、柱の文言も再策定していく必要があると考えます。  また、ビジョンが絵にかいたもちとなってしまっては意味がありません。ビジョンの策定と浸透施策、効果測定は一体であるのが当然であり、区教委としても、区内全校にばらつきがないように、外部評価を含む学校評価にてビジョン浸透度や実現度をはかるような取り組みが必要と考えますが、そのような取り組みはしていないのでしょうか。また、今後取り入れていく準備があるのでしょうか、お聞かせください。  さらに、地域とともに子どもを育てる教育を掲げている以上、学校現場はもちろん、地域全体にこのビジョンが浸透し、実現に向けて一体となっていけるような取り組みが必要であり、その浸透度を向上させていくことも重要ですが、少なくとも私の周囲でこのビジョンを知っている人間はほとんどいないのが現状です。教委の現状認識と今後の浸透施策計画を教えてください。  また、均質性の担保という観点からは、教員の質のばらつきだけでなく、クラスがえのないまま小学校を卒業していく子どもたちに与える悪影響も心配です。私は、これまで全国のさまざまな小中学校で授業をしてきましたが、クラスがえのないまま小学校高学年になってしまった子どもたちに共通する問題点の一つには、私の専門分野でもあります関係構築力、コミュニケーション能力など、数値化されにくい、社会に必要な能力育成不足であるということを実感してきました。  このまま学校を選択できない状況を続けるのであれば、これだけ多くの子どもが住まう世田谷区で、六年間クラスがえのない小学校に行かなければならない子どもたちがいるわけであり、区教委は統廃合や適正配置など、本気で取り組んでいかなければならないと考えますが、区教委の見解を求めます。  次に、保育・子育て環境の充実について三点質問いたします。  第二回定例会でも保育環境改善という点で質問をしましたが、この点では、東京で二番目に子育てしにくい町に成り下がっている状況を、区長がどのようにとらえているのかを伺うことができなかったことは大変残念であります。また、このままの計画では、来年四月段階でも保育待機児はゼロにならない状況であることが十分に考えられ、保育サービスを新設するだけでは追いつかないような状況下にあると認識しております。  そういう意味では、既存施設の有効活用と存続のためのサポートをあらゆる角度から検討していくことが必要ではないかと考えます。存続のためのサポートという点では、区認可保育室や保育ママは、かねてより世田谷区独自の保育施策の柱として貢献してきた、いまだに重要なパートナーであると考えます。しかし、保育室は近年、世田谷区より認証保育所への転換を強く勧められるため、保育室制度が廃止に追い込まれるのではないかとの危機感を持っているようです。  今後も保育室、保育ママは、世田谷保育政策の重要なパートナーとして存続できるよう、しっかりとサポートしていく必要があると考えますが、区の見解を問います。  既存施設の有効活用という点でも、保育室の一時保育枠を柔軟に認めていけないか、伺います。  我が家も近隣の保育室で時折一時保育を利用させていただいていますが、一時保育ですらほとんどあきがないというのが現状です。既存の制度だと、あらかじめ設定した一時保育人数しか預かることができませんが、例えば欠席児童がいる場合に、その人数分も一時保育として預かれるようしていけば、保育室としても一時保育収入分がふえる上に、待機児を預かってもらえるということで、双方にメリットがあるわけであります。これは早急に検討してもらいたいことでもあります。区の見解を伺います。  さらに既存施設の有効活用という点では、幼稚園の預かり保育を拡充していくことで、認可保育園の高月齢児枠を待機児の多い低月齢児枠に回していくことも検討すべきと考えます。  今年度よりスタートした認定こども園では、幼稚園部門の枠が先に埋まり、その預かり保育利用率は七割を超えているとも聞いていますので、保護者ニーズは潜在的にもあると思われます。区立幼稚園での導入や私立幼稚園での導入支援など、教委と子ども部で連携しながら、一体となって保育園待機児解消の新たな取り組みを検討すべきと考えますが、それぞれの見解を求めます。  最後に、市民活動の推進について伺います。  今や町会、自治会に加入している世帯の比率は五割強程度と、毎年その比率は下がり続けており、特に我々世代で親元を離れている人は、加入している人が珍しいほどです。  人と人とのつながりも、若い世代は旧来の地縁をむしろ嫌がる傾向にさえあり、ウエブ上でのコミュニティーが象徴するように、目的別に自由に集い、フラットな関係で活動することが主流になってきていると言えます。ウエブ上のコミュニティーだけでなく、リアルな場を持つサロンやサークル、これにとどまらず、NPOとして活動している人たちもおり、ソーシャルベンチャーとしてNPOを本業とする人たちもふえてきました。  このようにソーシャルキャピタル的な考え方が広まり、町会、自治会の加入率が下げどまらない状況は時代の変化として受けとめるべきであり、NPOがこの国で導入された背景から考えても、市民活動推進に関するもう一つの柱として、NPOに着目していく必要があると考えます。  目的や活動もさまざまですが、区内で活動するNPOの数は年々増加傾向にあり、五年前と比べると五倍増というような状況であります。その中には、当然社会貢献度の高い取り組みをしているNPOもたくさんあります。既に世田谷区内にはせたがや子育てネットや国際ボランティア学生協会など、全国的にも有名なNPOが区政を部分的にサポートしており、なかまちNPOセンターのように、世田谷区のパートナーとなっているNPOがあることは承知しております。  今後は、このような経験、ノウハウを持つNPOをより重用し、市民活動のもう一つの柱の中心にしていくことが有効と考えますが、区の見解を伺います。  また、昨今の世田谷区は、企業勤めなどでさまざまな経験をしてきた団塊世代が地域に帰ってきていることも重視する必要があります。まさに我々の親世代でありますが、これまで地域と余りかかわってこなかったこの世代の人たちは、自分の経験を社会貢献に生かしていきたいという欲求はあるものの、今さら町会、自治会のような活動に参加したくはないというような声をよく聞きます。その点、昨年行われた生涯現役推進の取り組みは、地域内で活動する市民活動団体とのマッチングなど、大変意義のある取り組みであったと感じております。  今後は団塊世代だけでなく、ソーシャルベンチャーとしてNPOを立ち上げる若者もふえてきていますから、社会貢献していこうという潜在的ニーズを有する人たちを発掘、育成、支援していくフレームワークを、関係部局と既存のNPOなどが一体となって行い、行く行くはさまざまな区の事業を地元NPOにアウトソースしていけるような、市民活動先進自治体を目指していくべきと考えます。区の見解を伺います。  以上で壇上からの質問を終わりにさせていただきます。 ◎若林 教育次長 二点ご質問いただきました。答弁をさせていただきます。  まず、教育ビジョンの実現に向けて、いわゆる公教育の均一性、あるいは質の問題、こういうご質問をいただきました。  区教育委員会は、平成十七年に地域とともに子どもを育てる教育など五つの柱を掲げた教育ビジョンを定め、今後の教育の基本的方向性を明らかにし、世田谷独自の施策を推進してまいりました。こうした取り組みを踏まえ、このたび、向こう四年間の第二期行動計画素案をお示ししたところです。  ご質問の中で「世界にはばたく子どもたち」、このようなお話もいただきました。具体的には、深く考え、自分を表現する力、あるいは日本の文化伝統を大切に継承する、こういったことが重要かと考えており、教科「日本語」の取り組みも、このような例かというふうに考えております。  次に、各学校では、教育ビジョンの実現に向けて特色を生かした取り組みを進めるとともに、相互に連携し、切磋琢磨することを通して、区全体の教育の質を高める努力をしております。外部評価、地域運営学校等のテーマを掲げた、八月に実施しました第二回の教育フォーラムでは、多くの保護者、地域の皆さん、教員が参加し、熱心な討議が行われました。  また、近年、子ども人口が増加し、地域によっては偏在傾向が見られます。教育ビジョンの行動計画を着実に推進し、子どもたちがよりよい環境で教育が受けられるよう、学校の適正規模、適正配置の課題にも取り組んでいく必要があると認識しております。  今後とも区教育委員会は、議会はもとより、学校、保護者、地域等から幅広いご意見を伺い、教育ビジョンの第二期行動計画を着実に推進し、すべての学校で、より質の高い教育が実現できるよう取り組んでまいります。  次に、区立幼稚園での預かり保育についてのご質問もいただきました。  区長が掲げる「東京で一番子育てしやすいまち」を目指すとの強い決意は、区教育委員会でも十分認識しているところであります。お話しの預かり保育を区立幼稚園で実施していくに当たっては、公私立の幼稚園の間の役割分担、施設や人員体制の整備、ニーズの把握など、さまざまな課題を整理していく必要があると考えております。  この四月に二つの認定こども園がスタートいたしました。子ども部とは、日ごろからさまざまな意見交換も行っておりますが、ご提起の点とともに、これらの施設の運営状況等を十分検証してまいります。  以上です。 ◎藤野 子ども部長 保育環境の充実につきましてご答弁申し上げます。  まず私立幼稚園の預かり保育の拡充についてでございます。  私立幼稚園の預かり保育は、保護者が就労などのために家庭で保育ができない在園児を、幼稚園教育時間の前後や夏季休業などの長期休業期に、同じ幼稚園の中で保育する事業でございます。現在八園で実施しており、幼稚園を利用しながら働きたいというニーズに対応する、重要な子育て支援施策であると考えております。  私立幼稚園は、それぞれ独自の教育・保育方針に基づき運営されておりまして、また、施設の状況もさまざまでございます。  区といたしましては、現在預かり保育を実施している園の実情を十分に把握するとともに、実施していない園に対して情報提供などを行う中で、保護者のニーズや園の方針に沿う場合には、個別にご相談の上、実施に向けた支援を行ってまいります。  次に、保育室に関してご答弁申し上げます。  保育室は、認可保育園と同様に、家庭で保育ができない方にご利用いただいており、家庭的な保育を希望する保護者の方から高い評価をいただいておるところでございます。現在の区の待機児は一・二歳児が多く、ゼロ歳から三歳未満のお子様をお預かりしている保育室の役割は大きいと考えております。さらに、近年、一時保育を希望される保護者の方も多く、保育室等においても、スペースの確保等課題はございますが、一時保育を実施してきているところでございます。  区といたしましては、一時保育機能を備えた子育てステーション等の整備とあわせまして、保育室等既存の保育施設と連携しながら、一時保育など多様化している保育ニーズにもこたえてまいりたいと考えております。  以上でございます。 ◎堀 生活文化部長 市民活動の推進について、NPOを重用せよ、また、担当所管として今後の考えをというご質問をいただきました。  ご案内のように、地域のさまざまな課題を解決するには、行政の力だけではなく、地域で暮らす方々の助け合いや、そこで活動するさまざまな団体、例えば町会、自治会のような地縁団体や、PTA、NPOなどの連携が必要です。  区ではこの考えのもと、これまでも地縁団体やNPO、地域活動団体等へさまざまな支援を行ってまいりました。加えて、平成十七年度からは地域コミュニティ活性化支援事業を実施し、地縁団体を含め、NPOやボランティア団体が行う地域貢献活動に対して支援を進め、その結果、お話にありましたように、団塊の世代や、町会、自治会の方々の取り組みを交流会でご披露いただいているところでございます。さらに、区と協定を結んだNPOが運営するなかまちNPOセンターでもさまざまな支援を行っております。  基本計画では、区民の皆さんとともに「魅力あふれる 安全・安心のまち世田谷」を実現することを掲げております。私ども市民活動を担当する所管としましては、これまでの支援策に加えて、既存の地縁団体やNPOなどと新たなネットワークを強めていき、地域のきずなをさらに強め、「安全・安心のまち」を、より多くの区民の方々とともに構築していきたいと考えております。  以上でございます。 ◆三十八番(風間ゆたか 議員) ご答弁ありがとうございます。何点か再質問させていただきます。  まず教育委員会のほうにはビジョンの件で、本当にビジョンの策定とか浸透というのは大切なことだと認識しております。むしろ浸透のほうが重要だと考えておりますし、効果検証も重要だと思っていますが、外部評価などを含めて、評価による効果測定というのがされているのかどうかということを一つお答えください。今後の予定も含めてお答えください。  保育に関しては、保育室はこのままサポートしていくということを明確にお答えいただければと思いますので、よろしくお願いいたします。  以上で終了。 ◎若林 教育次長 ただいま教育ビジョンの第二期の行動計画の策定中なわけでございますけれども、その中で、これまでの三年間の取り組みの評価検証ということにつきまして、PTAの皆さんですとか各学校の意見、こういったことを集約、踏まえながら検討させていただいています。  それから、今後のことですけれども、行動計画の中では年次計画をつくります。そういう中でそれぞれ年次ごとの目標を定めるわけですから、それぞれ年次ごとで、とりあえず進行管理をきちんとやっていく、こういう体制を用意しています。  以上です。 ◎藤野 子ども部長 保育サービス待機児解消に向けまして、区はあらゆる手法をとりまして全力で取り組んでいるところでございます。その中で保育室というのは、家庭的な環境の中で保育を受けさせたいという保護者の方から高い評価をいただいていることを踏まえまして、私どもも重要な施設であるというふうに認識し、引き続きさまざま意見交換をさせていただく中で、よりよい保育環境の充実に、協力しながら努めてまいりたいというふうに考えております。  以上でございます。

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